税理士の珍しい職務
「生き馬の目を抜くような激しい競争のもとで1年間投資銀行の幹部を務めることは3年分の寿命を縮めているとの実感だ」このように語った投資銀行家がいたが、高い年収の背後にあるのは、熾烈な競争のもとで繰り広げられる「成果を上げること」「実績を上げること」に対する飽くことなき執着心だ。彼らは決して高い年収を得るために仕事をしているわけではない。
高い年収をもたらしているもの。それは、彼らのようなプロを求めて、株主のために高い実績を上げようとする「投資銀行業界」側の強烈な人材引き抜き合戦だ。
顧客に対して、より質の高いサービスを提供して利益を獲得する。そのことによって収益を上げて株主に還元していく。
そうしたプロフェッショナルとしての強い意識が投資銀行家をして不眠不休の業務の遂行へと邁進させている。そこには、何かあったら国の公的支援に頼ろうとする日本の金融機関に見られるような「甘え」は一切存在しない。
私は、資本主義や市場主義が行き着く先の姿を、投資銀行や投資銀行家に垣間見る気がしてならない。GSにしろ、RBにしろ、ルーツを辿ればユダヤの金融業者である。
18世紀、彼らはゲットーと呼ばれる特別の区画でしか生活を許されず市民権さえも与えられていなかった。こうした苦難の歴史を経てきたからなのであろう。
ユダヤ系の投資銀行の中には、いかなる戦乱や迫害があっても「貨幣を確保し知恵と知識を磨いていけば生き残れる」というユダヤ民族の言い伝えのようなものが息づいていることに気づかされる。「最高レベルの知識とノウハウを身に付けておく」ことが、文字通りの「生き残り」のために必要であるとの信念だ。
これまでも投資銀行は歴史の大きな節目のなかで、決して大きく表に出ることはなかったが、極めて重要な役割を演じてきている。日露戦争で日本がロシアを相手に戦争することができたのは、Tの懇請を受けて、RBの前身のKR商会が日本の戦費調達に協力したからだ。
ブラジルがポルトガルから独立した時にはRがサポートしている。そして、2006年。
買収総額1兆7500億円という、日本企業による史上最大規模の企業買収となったSBによるボーダフォン日本法人の買収。新聞各紙の一面トップを飾った、この買収劇で、GS、UBS、Dバンクといった投資銀行各行がアドバイザーとして黒子のように関与してきていることを、日本のどの新聞や雑誌も報じた。「投資銀行」とは、いったい何をしている組織なのだ?多くの企業買収や合併、再編劇の舞台裏で、いったい何か行われているのだ?これほど巨額な報酬を得ている投資銀行家たちは、いったいどんな仕事をしていて、どんな生活をしているのか?ここでは、これまで明かされることのなかった投資銀行の実態を明らかにしていく。
さらに投資銀行のマネージングーダイレクターとして、企業合併・買収の最前線に立ってきた経験から見えてきた、日本の銀行と企業の「甘さ」についても浮き彫りにしていく。
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